4月から生命保険各社が値上げ、自賠責は値下げ
保険料はどうやって決まるの?長期金利が原因で…とニュースで最近良く聞きます。保険料は毎年4月頃に改定されていますが、その際の目安となっているのも長期金利…をもとに計算される「標準利率」です。
先に言ってしまうと、長期金利が下がると生命保険会社の利益も減るため、各社が保険料を上げるという仕組みになっています。過去には超低金利で運用益が大きく下回ってしまい保険会社が破綻する事態になったこともありました。保険料が上がるのは契約者にとってデメリットではありますが、保険会社が倒産しては元も子もありません。長期金利は耳に覚えがあっても、標準利率となると聞いたことさえない方がほとんどだと思います。
今回は長期金利を元に計算された「標準利率」に上乗せして保険各社が契約者に約束する「予定利率」について説明します。
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参考サイト 金融庁
参考サイト 公益社団法人日本アクチュアリー会
保険料の仕組み※【 】にカーソルをあわせてください
保険料は以下の3つの基礎率からなっています。
【 予定利率 】【 予定死亡率 】【 予定事業費率 】予定利率とは… 【 契約者に約束する運用利回り 】
生命保険各社が投資などで「運用して得る予定の利益」を元にしています。当然、運用の成績が悪ければ利益は上がらないため、経済の好不況に大きく左右されます。予定よりも、実際の運用成績が良ければ生命保険各社の収益となり契約者に還元できます。この「予定利率が高い」と、契約者は「保険料が割り引かれる」ためメリットが大きくなります。不況等で儲けが少なそうだな、という時は「予定利率が低く」され「保険料が高く」なるのです。予定死亡率とは… 【 死亡等で保険料を支払う率 】
契約者がケガや病気になったり、死亡した時等に保険会社は保険金を支払います。保険料を安くしすぎて契約者に保険金を払えなければ本末転倒です。そのために、将来の保険金の支払いにあてられるように保険料を設定しています。ています。(公社)日本アクチュアリー会が、がん生存率や平均寿命などを総合的に判断し「標準生命表」を作成しており、これが参考とされています。予定事業費率とは…【 保険会社の運営事業費の率 】
会社を運営していくには、人件費など様々な費用がかかります。それもまた契約者から受け取る保険料から捻出しているため、保険料を設定する元になっています。保険会社のコスト(経費)が影響します。今年、自動車保険が安くなったのは「安全技術の普及」が「予定死亡率」に影響したためです。また生命保険料が上がったのは「長期金利の低迷」により、投資運用益に期待しにくい状況であるためです。
【参考】(社団)生命保険協会「保険料の仕組み」
以上のように、様々な指標や数値に基づいて保険料が設定されています。保険料が高くなるのは社会状況を反映しており、仕方のないことではあります。しかし、もし保障が同じなら値上がりする前に契約できたら嬉しいのが人情。保険料の値上げは予測できないのでしょうか?ここで金融庁が定める「標準利率」にあらためて注目してみます。
今後の動きを抑えておこう。どんな保険が値上がりする?
保険会社各社が決める予定利率は「標準利率」が元になっています。ではその標準利率は10月に改定されます。これは9月に入札される国債の利回りをベースとしているためです。その結果が、翌年4月の保険料(予定利率)に反映されます。2017年4月現在の標準利率は0.25%です。(1.0%から0.25%に大幅に下がりました)
一方、予定死亡率は「標準生命表」を元にしています。こちらは過去の統計から将来の動向を予測するもので、2020年まで改定の予定が出ています。まず2018年4月に改定されます。こちらは医療技術の進歩や、平均寿命の動向に左右されます。死亡保険料は下がり、医療保険は上がると言われています。
確認のポイント:1
9月〜10月には来年の保険の値上がりが予想できる
経済の状況にもよりますが、国債の利回りの状況や改定されたばかりという点から標準利率の変更の可能性は低いと思われます。
長期の利回りが影響を受けるのは「貯蓄性の高い」保険が中心になります。
国内経済が低迷する状況では外貨建ての保険も選択肢となります。
今回の改定前(2017年3月中まで)に「終身保険」「学資保険」「個人年金保険」などをご契約された方はお得でした。
今後は国内経済が上昇傾向になった時や、外貨建ての保険への見直しが好機となるでしょう。
ちなみに過去の改定の履歴は下記の通りです。
1994.4 3.75%
1996.4 2.75%
1999.4 2.0%
2001.4 1.5%
2013.4 1.0%
2017.4 0.25%(過去最低水準)
確認のポイント:2
標準生命表の改定タイミングに注意
予定死亡率の指標も2018年4月に改定が予定されています。
(現在、改定案が既に公開されています。)
こちらが大きく影響するのは、死亡保険や医療保険です。
技術の進歩で寿命が長くなるのは嬉しいのですが、治療が長期化して医療費の負担が増しています。
10年定期の死亡保険料で5〜10%程度下がる見込みで、一方で医療保険は5%値上げの可能性も。
【日経新聞】生保、死亡保険料下げ 長寿化受け11年ぶり 18年春にも
確認のポイント:3
同じ指標を使っていても保険会社で差がでるのはなぜ?
死亡予定率も標準利率も各社同じ指標を用いています。それでも同じ保障内容で保険料に差が出るのは「予定利率」と「予定事業費率」の設定内容によります。
予定利率に関しては、今回の標準利率の改定に対して各社変更を随時行っている中、人気商品の値上げ幅を極力抑える会社もあります。
当然利益も減りますが「予定事業費率」を圧縮することで実現する会社もあることでしょう。
過剰なサービスを減らしたシンプルな保険や、オンライン契約でコスト低減をはかる会社の保険料は他社より有利になる可能性があります。
しかし無理をして保険料を安くすれば、必ずどこかにしわ寄せが出ます。
保険料だけでなく、保険会社の経営の健全性や保障内容にもしっかり着目して保険選びをしたいものです。
【参考】ニッセイ基礎研究所
今回は保険選びの一番のポイント「保険料」の仕組みについてご案内しました。
時代とともに保険は変化しています。
ご契約の保険について見直したり、相談したいとお考えの際は、是非ライフエッジまでご依頼ください。



